[仮装舞踏会(バル・マスケ)]
『盟主』と『三柱臣(トリニティ)』を中心とした、現在世界最大の規模を誇る“紅世の徒”の組織。『大命』と呼ばれる究極目標の成就を主眼とした活動をしているらしい。『大命』には三つの段階があり、その第一段階が、“久遠の陥穽”に放逐された盟主の意思を受信し思い通りに動く代用体を精製することである。残り二つの段階についてはいまだ詳細は語られていないが、『大命詩篇』と呼ばれる自在式が中核となる百年・千年単位の計画である模様。普段はこの世に跋扈する“徒”に、フレイムヘイズの発生を防いだり追跡をかわすための訓令を与えたり、この世に跋扈する“徒”に仇なすフレイムヘイズやその外界宿(アウトロー)の殲滅を行うなど、この世の“徒”に対する互助共生を行っている。行動の上に人間を使わず、“徒”だけで全ての事柄を行う。役職として、上記の三柱臣に加えて、現在判明してる限りでは、戦闘を担当する巡回士(ヴァンデラー)、フレイムヘイズの捜索・追討や組織のための情報収集を担当する捜索猟兵(イェーガー)、組織の中枢と各地の捜索猟兵や巡回士らとの連絡を主任務とする布告官(ヘロルト)などが存在する。
- “祭礼の蛇(さいれいのへび)”坂井悠二
- [仮装舞踏会]『盟主』。その正体はいまだ不明ではあるが、サブラクにより『零時迷子』へと打ち込まれた自在式により悠二の中に潜在・観察していた盟主の意識が、彼の望み(恐らくXIII巻での「頑張って戦い“徒”との戦いを終わらせる」という願い)を感じ、『零時迷子』では無く彼自身に興味を持ち、自分とともに歩む唯一の存在として認め、悠二もその存在を認め、融合を果したと思われる存在。現在はあくまで『仮の帰還』であるらしい。炎の色は黒であり、その炎が写す影の色は銀。
- マルコシアス曰く「天裂き地呑む化け物」であり、過去に支配という行動に興味を持ち『大縛鎖』と呼ばれる都を作った途端にフレイムヘイズから袋叩きにあい「一発昇天」した筈なのだが、どの様な状態にあるかは不明ではあるものの、現在“久遠の陥穽”と呼ばれる場所に存在している模様。フリアグネ曰く「すごくすごく偉い……でも、とてもとても変で、とてもとても甘い……ああなっても仕様がなかった……」との事であり、ラミーからは“棺の織手”と並んで強大な存在として挙げられ、また強力な“王”達から敬服されている事から、相当に強力な“王”と思われる。声は悠二の物と盟主の物の二重になっているが言動に悠二の面影は確認できず、謎が多い。数千年前に多くの人間に呼ばれていた名を捨て、“祭礼の蛇”坂井悠二という名で呼称されることになる。つまり『零時迷子』の“ミステス”である坂井悠二の名を自らの通名としている。以前の通名は現時点では不明。袋叩きにあって消えた彼がなぜ生きており、どうやって仮とはいえ復活を遂げたかは、『大命詩篇』や『暴君』と因果関係があると思われるが詳細は不明。
- 『暴君』
- 仮装舞踏会の盟主に関係する『我学の結晶』。“久遠の陥穽”に存在する盟主の意思をこの世に表すための感情採集を行う『暴君 II 』は歪んだ西洋風の板金鎧の姿をしており、人間の強い感情を察知しその場に分身が転移、呼び寄せた人間の感情を採取し、その人間がとろうとしていた行動を周りの人間を動力源に忠実に行っていた。本体は[仮装舞踏会]の本拠地、『星黎殿』の奥に磔にされている。フィレスが『零時迷子』を活性化させた際、本体の左腕を除いた上半身が『零時迷子』の元へ転移した。マージョリー・ドーの仇敵である“銀”と深い関わりがある、もしくはそのものだと思われるが明確には記されていない。炎の色は銀。
- “逆理の裁者(ぎゃくりのさいしゃ)”ベルペオル[Bel-Peol](アニメ 大原さやか)
- “紅世の王”。[仮装舞踏会]『三柱臣(トリニティ)』の参謀。かつての役職名は軍師で、[仮装舞踏会]改組の際に改名させた。右目に眼帯をした、三つ目の女性。狡猾で智略に長けており、さらに部下を簡単に切り捨てることができる冷酷な“王”。常から不在がちな盟主と託宣に明け暮れる巫女“頂の座”ヘカテー、不真面目な将軍“千変”シュドナイに代わり、実質的に組織を運営している。『星黎殿』の司令室である『祀竃閣』にいることが多いが、大命遂行の為に外出する事も多い。「組織であるがゆえの強さ」を重んじ、数千年という単位で唱えている。炎の色は金色。
- 『三柱臣』として大命遂行の際にのみその行使を許される宝具は鎖型の『タルタロス』。『大戦』で『大命詩篇』が砕け、その影響で苦しむヘカテーを救助するために外部との共振、特定現象から切り離すなどの場面が見られるものの、その力の詳細は不明。
- [仮装舞踏会]は『三柱臣』ほどの強力な“王”たちが従っているにもかかわらず、目的がフレイムヘイズ側に知られていない事やベルペオル本人の智謀への評価から、対峙するフレイムヘイズは事あるごとに「彼女の陰謀の一環では無いか?」と疑心暗鬼に駆られて、その勢いを押し留める結果となっている。本人も自分の評判をせいぜい有効に活用しているようである。ダンタリオンからせしめた自在式を込める事のできる金塊を使ってゴルディアン・ノットなどの宝具を製造して利用している。
- 悠二の内にある『零時迷子』の存在に気付いてからは、『実験』を一段落させたダンタリオンを再び呼び戻し、“壊刃”サブラクに声を掛け、シュドナイ始め戦闘部隊に外界宿(アウトロー)を攻撃させている。
- 通称の由来は、ルシファーの副官とされる悪魔 ベルフェゴール(Belphegor)の別名とされる、バアル=ペオル(Bel-Peol)と思われる。
- “千変(せんぺん)”シュドナイ[Sydonay](アニメ 三宅健太)
- “紅世の王”。[仮装舞踏会]『三柱臣(トリニティ)』の将軍。しかし職務に対しては怠慢かつ、他者の依頼を受けて依頼者の身を守る事に悦を覚える変わり者でもあり、普段は依頼を受け他の“徒”を護衛している。炎の色は濁った紫。
- 他の“徒”とは異なり、その真名が示す本質から生まれる『変化』の力を持っているため姿は不特定であり、必要に応じて姿を自在に変えることができる。普段は人間型をしており、プラチナブロンドをオールバックにしサングラスを掛けた(中世には黒い鎧の姿をとっていた)長身の男性の姿をとる。しかし戦う時や『食事』の時には、頭や腕や口を様々な場所に複数作ったり、部分的に腕や口などを巨大化させたり、全身や体の一部を蝙蝠、亀、大蛇など様々な動物(虎が比較的多い)に変えたりする(アニメでは、一本角のライオンの体に鳥の脚、蝙蝠の翼、爬虫類の尾、という姿で一定している)。
- 戦闘時には「本質そのままの姿」へと姿をとる戦闘スタイルからか、人間の文化に憧れるあまり本質そのままの姿を陳腐とする最近の“徒”の風潮を、内心で寂しく思っている。一方で、人間の姿をとる際には当代の流行文化をいち早く取り入れる洒落者の面も持つことから、人間の文化その物には好意的と言える。特に煙草が大好きで、いつも吸っている。
- 『三柱臣』として大命遂行の際にのみその行使を許される宝具は槍型の『神鉄如意』。素の力も非常に強力だが、大命遂行時には、その剛槍の力で敵を打ち倒す。
- ヘカテーに好意を持っており「俺のヘカテー」と公言して憚らないが、当人には、毎回きっちり「私はあなたのものではありません」と返され、職務態度の悪い同僚程度の応対しかされていない。普段は飄々とした性格だが、ヘカテーの身に危害が及ぶと怒り狂い、その原因を作った相手に全力で攻撃する。ダンタリオンも悪意は無いのであろうが、危害が及ぶ原因となった過去があるようでシュドナイに襲われた事があるらしい。さらにその怒りはヘカテーを守れなかった味方の護衛にも矛先が向き、幾人もの“徒”や“王”までもが彼の手にかかっている。同格のベルペオルですら真剣に恐怖を感じるほどで、周りは敵の襲撃以上に、ヘカテーが傷つくことと、それがシュドナイに知れることを恐れている。ちなみに彼はヘカテーを愛しているのであって、決してそういう趣味ではないらしい。
- 一方でベルペオルのことは公然と「ババア」呼ばわりしてこき下ろすが、ベルペオルもいちいち皮肉たっぷりに接しているので、お互いに「性格の反りは合わないが、その実力を利用する」関係といえる。ちなみに両者とも何者か(おそらくは盟主“祭礼の蛇”)となんらかの盟約を結んでいるが、シュドナイはあまりその盟約には忠実ではない。
- III・IV巻で“愛染”兄妹の護衛をしている際に悠二と遭遇。“ミステス”と気づいて中の宝具を奪い取ろうとしたが、『零時迷子』に掛けられた『戒禁』(防御用の自在法)によって、右腕と本質の一部を失った(その後、再構成した)。そのことと、大した力を持たないのに“封絶”の中で動く事から悠二の中身が『零時迷子』だと察知し、以降は[仮装舞踏会]の「将軍」と言う本来の職務に、急に本腰を入れるようになる。通称の由来は悪魔アスモデウスの別名から。
- “頂の座(いただきのくら)”ヘカテー[Hecate](アニメ 能登麻美子)
- “紅世の王”。[仮装舞踏会]『三柱臣(トリニティ)』の巫女を務める。表情に乏しい幼い美少女の容姿をしている。杓子定規な物言いが特徴。大命遂行に際し、主に盟主の意思を受ける役割があると思われる。通常は『星黎殿』の内部にある祭壇の間『星辰楼』にその身を置いている。『三柱臣』の中でも特異な存在として知られる。彼女が姿を見せることは極めて稀で、その真意や性向などは殆ど知られていない。しかし、[仮装舞踏会]に属する“徒”たちからは最も尊崇されている存在である。炎の色は明るすぎる水色。
- 『三柱臣』として大命遂行の際にのみその行使を許される宝具は錫杖型の『トライゴン』。他にも「教授」とドミノの会話から笛の宝具を所持している可能性がある(ドミノがヘカテーの事を笛の巫女様と呼称していた事と「教授」が笛を十六回も改造してあげたと言った事から)。自身の炎と同じ色の光弾を流星の如く飛ばす自在法『星(アステル)』を使う。一度に数十発飛ばす事も可能。華奢な外観とは裏腹に膂力体術にも長けており、シャナと互角に渡り合える程である。『大命詩篇』の扱いを一手に担っている。
- 自らに言い寄るシュドナイを相手にしないなど、基本的に他人とはあまり関わらない性格である。が、盟主たる“祭礼の蛇”のことは「彼女の神」とまでされるほどに崇拝している。その他、何故か誰もが扱いに困る変人ダンタリオンのことは「おじさま」と呼んで慕っており、ダンタリオンの勝手な行動によってトラブルが起きても、彼を庇ったりしている。また、高い山の山頂で過ごす事を趣味にしており、山を汚す登山家を嫌っている(過去に何度か出くわした際は、例外無く皆殺しにしたらしい)。天然の気もあり、とにかく素性が知れない少女。『零時迷子』に刻印(おそらく探知系の自在式)を刻み付けて、『零時迷子』の位置を常時探知出来るようにした。通称の由来はギリシャ神話で呪術を司る女神ヘカテ。
- アニメ版での設定では、膨大な器の持ち主で自分の器が満たされる事が望みだった。他者の器に自分の器を合わせると言う能力をもっており、今まで様々な者に器を合わせてきたが満たされたことはなかった。
- 灼眼のシャナSの『狩人のフリアグネ』でのフリアグネの話によると帽子の中には夢と秘密が詰まっているらしい。
- また、アニメの番外編で『頂のヘカテーたん』というものも存在した(『灼眼のシャナたん』のIIIに相当する)。
- “嵐蹄(らんてい)”フェコルー[Fecor]
- “紅世の王”。『星黎殿』の防衛を一手に任せられている。ベルペオルの副官的存在。伸びた黒髪、蝙蝠のような大きな翼に細い尻尾、尖った耳と角、という悪魔のような特徴を持ち、鋲を打ったベルトに湾曲刀を提げた、平凡なスーツを着た押しの弱い小役人風な中年男の風采の“徒”。が、見た目に反して相当に強大な“王”。炎の色は臙脂。
- 普段は『星黎殿』の出迎え・案内役をしている。これは密かな監視などが目的ではなく、組織の末端にまで眼を配り、構成員たちの生の声を聞こうという彼自身の意図によるものである。『星黎殿』の中では『秘匿の聖宝(クリュプタ)』の効果で彼の強大な気配は隠されており、見た目の貫禄の無さと、誰に対しても腰が低い事もあって、若い“徒”には彼の実力を知らない者も少なくはなく、ウィネなどは単なる「案内係のおっさん」としか認識していない(そもそも彼が“嵐蹄”である事に気づいていない)。臙脂色の粒子の嵐を操る鉄壁の防御用自在法『マグネシア』を使う。粒子の嵐はフェコルーの意思に応じて自在に操作可能であり、凝固させることで大質量の巨大な物体などを瞬時に作り出せる。粒子は見た目の数十〜数百倍の重量を持っており、『マグネシア』の嵐の内部にいるものにとっては防御の力であるにも関わらず、「攻撃」とも思える様な圧倒的な打撃となる。また、この粒子はこびり付くために嵐の中に留まるほど重い枷となっていく。この嵐と、巨大な粒子の立方体を大量に飛ばすという、圧倒的質量でのごり押しによる鉄壁の防御陣である。ただし、あくまでフェコルーが操作する力であるので、味方の位置を把握せずに使うと味方も巻き込んでしまう恐れがある。通称の由来は財宝を守るとされる悪魔フェコル。
- “琉眼(りゅうがん)”ウィネ[Vine](アニメ 鈴木達央)
- 比較的若年の“紅世の徒”。捜索猟兵(イェーガー)の一人。バイクをこよなく愛し、外見はライダースタイル。この世で手に入れ、手入れも欠かさない年季の入った中型バイクに跨り、フルフェイスのヘルメットのシールドには大きな両目が描かれている。この目は気分に応じて表情を作り、力を使うときなどは大きな一つ目となる。炎の色は藤色。
- 知覚を他人に伝染させて広範囲を探索する能力を持つ。また、他者の視界を任意の方向にねじ曲げるという、使い方次第では強力な武器になる能力も持つ。それらの力を駆使して過去に三十人余りのフレイムヘイズを発見し、その中の十人を自身の手で打ち倒した功績を持つ。捜索猟兵の中では優秀な部類であり、会った事の無いシュドナイにも名前は覚えられていた。ベルペオルを女神と崇め心酔しており、組織の大方針の一つである、「『炎髪灼眼の討ち手』の再契約阻止」を果たそうとするため、自身の能力で『天道宮』の場所を突き止めて奇襲したが、“天目一個”などの妨害に遭って失敗し、彼が女神と崇めるベルペオルによって命の残り火を利用され『天道宮』を崩壊させられた。
- なお、ソラトとティリエルの兄妹を[仮装舞踏会]に紹介したのは彼である。彼らと別れる際、「因果の交差路で、また会おう」という“徒”の交わす別れの挨拶を教えたが、彼らの因果の道は再び交差する事はなかった。通称の由来はソロモン72柱、序列45番ウィネ。
- “千征令(せんせいれい)”オルゴン[Orgon](アニメ 斧アツシ)
- 巡回士(ヴァンデラー)の一人。“紅世の王”で、ベルペオルの古くからの直属の部下。『大戦』にも参加している。かなり傲慢で尊大な性格で、馬鹿にされるのを嫌う。炎の色は錆びた青銅のように不気味な緑青色。
- トランプのジャックの騎士の名(『ホグラー』『ラハイア』『ヘクトル』『ランスロット』)を冠す『四枚の手札』を中心とした『レギオン』という、自らの“存在の力”を込めた薄く鋭い紙の軍勢を用いて戦う。また、この『レギオン』に自らの本質の顕現に使う力のほとんどを注ぎ込んでいる為、その姿は帽子、マント、手袋が浮いているだけのものとなっている。一見マティルダの『騎士団(ナイツ)』と似た能力だが、『レギオン』は自在法とはいえ、“千征令”というオルゴン固有の本質の顕現であるため『騎士団』とは原理も由来も関係なく、またオルゴン本体だけを討滅しても『レギオン』は消えない。一部を倒したり翻弄するのは容易でも、全てを滅ぼすには骨が折れ、敵を疲弊させてその数を持って敵を蹂躙する、恐ろしく厄介な“王”。フレイムヘイズ達の外界宿(アウトロー)を単独で全滅させるほどに強大な力を持ち、「戦争屋」として恐れられている。
- 外界宿を潰す任務の帰り、[仮装舞踏会]からの連絡を受けてウィネと合流。ウィネに『天道宮』突入の為の囮として利用され、(彼の視点では)“天目一個”に虚仮にされ、ヴィルヘルミナに『レギオン』を翻弄され、と散々な目に遭った挙句、メリヒムの『虹天剣』によって全ての『レギオン』ごと一撃の下に滅された。
- “道司(どうし)”ガープ[Gaap]
- “紅世の王”でベルペオルの直属の部下。武装修道士の姿をしている。大仰で騒がしい、嫌味な性格。駆ける速さで並ぶものはないと言われ、連絡役として動く事が多い。ただし精度や機動性には欠ける。『大戦』にも参加していた。炎の色は浅葱色。
- 戦闘では『四方鬼』という“燐子”の人形で固定した敵を体当たりで突き破る『大突破』という技などを使用する。史上最悪の“ミステス”、“天目一個”に討滅、吸収される。通称の由来はソロモン72柱の序列33番の悪魔ガープ。
- “翠翔(すいしょう)”ストラス[Stolas]
- “紅世の徒”。布告官(ヘロルト)の一人で、その中でも古株的な存在。全身は獣毛に覆われ、頭部は無く、大きく張った胸に一対の眼、腹部に裂けた口を持ち、両腕は翼になっている、鳥とも獣とも人ともつかぬ異形の“徒”だが、見た目に相違して非常に律儀で礼儀正しい。文中では「鳥男」と記述される。炎の色は縹(はなだ)。
- 鳥肉が好物で、鵞鳥を丸のまま喰らう(“徒”に通常の食事は不要であり、これはシュドナイの煙草などと同様、彼の嗜好である)。『大戦』には参加していないが、かつてとある“紅世の王”の組織(おそらく後述の[巌楹院])へ伝令に向かい、その根城に滞在していた際、先代『炎髪灼眼の討ち手』の襲撃に巻き込まれ命からがら逃げ延びたことがあり、その経験から『炎髪灼眼の討ち手』の復活を極度に恐れ、“琉眼”ウィネを始めとする多くの捜索猟兵を焚き付けて『天道宮』の捜索と再契約の防止を図っていた(が、結果だけ見れば完全な逆効果となった)。シュドナイの大命遂行に付き従うが、気ままな将軍に振り回され、いつも苦労させられている。『ドレル・パーティー』襲撃の際には、包囲網の指揮を取った。通称の由来はソロモン72柱、序列36番ストラス。
- “獰暴の鞍(どうぼうのくら)”オロバス[Orobas]
- “紅世の徒”。『大戦』時は黒馬の姿をしており、シュドナイが騎乗していた。現在は姿を黒服の男に変えており(おそらく人化の自在法によるもの)、[仮装舞踏会]のシュドナイの軍に同行している。かなりシュドナイに心酔している模様。炎の色は橙。通称の由来はソロモン72柱の序列55番の悪魔オロバス。
- “聚散の丁(しゅうさんのてい)”ザロービ[Zarovee]
- “紅世の徒”。捜索猟兵(イェーガー)の一人。柔和な笑顔を浮かべた、痩身の老人の姿をした“徒”。炎の色は飴色。
- それぞれが細い力の紐で繋がった赤、青、黄、緑、桃のスカーフをそれぞれ巻いた同じ姿(人数と色分け、及びオーバーアクションは「秘密戦隊ゴレンジャー」など「スーパー戦隊シリーズ」のパロディ)に分身したり、離れた自分と融合する事が出来るが、一体一体の力は非常に弱く、残り火の強いトーチ程度。ビフロンスと組んで任務に当たる事が多い。一人称は「ワタクシ」。
- “壊刃”サブラクを発見した結果、ベルペオルより『大命』の要たる坂井悠二の奪取、及び妨害するフレイムヘイズらを討滅する任務を授かったが、彼らはサブラクの襲撃のための囮に過ぎなかった。悠二によって秒殺討滅される(現在のところ、彼がこれまでに討滅した唯一の“徒”である)。
- 通称の由来はヌクテメロンにおける3時のゲニウスの1人、危地を支配するザロビ。
- “吼号呀(こうごうが)”ビフロンス[Bifrons]
- “紅世の徒”。巡回士(ヴァンデラー)の一人。土管を2つ繋げたような身体に虫のような足が幾対も生え、拷問器具のような鉄棒で編まれた頭部という異形の姿。ガリガリという金属音のような笑い声と、読点の多い口調が特徴。炎の色は樺色。
- 普段は宝具『タルンカッペ』で気配を隠しているが、この状態では移動速度が非常に遅い。破壊を得意とし、瓦礫を吸い込み、その砲身の様な身体から強烈な一撃を放つ。ザロービと組んで任務に当たる事が多い。入手経路や具体的にどう使用しているかは不明だが、携帯電話を使ってザロービと連絡を取り合っている。
- ザロービと共に囮として使われており、最期にはサブラクによって瀕死のところを遠隔操作され、自身の“存在の力”を砲撃に使い果たして消滅した(XIII巻ラストのサブラクの言っていた「あれ」は恐らく彼らのこと)。通称の由来はソロモン72柱、序列46番ビフロンス。
- レライエ[Lerajie]
- 真名及び炎の色は不明。白服の女性の姿をしている。シュドナイの大命遂行に同行する。通称の由来はソロモン72柱、序列14番レライエ。
- デカラビア[Dacarabia]
- 真名及び炎の色は不明。XIII巻で名前のみ登場。オロバスやレライエの上位に当たるらしい。シュドナイいわく「有能ではあるが、とにかく変物」で、周囲からの好悪の感情が極端に分かれている。通称の由来はソロモン72柱、序列69番デカラビア。
[とむらいの鐘(トーテン・グロッケ)]
古く強大な“紅世の王”、“棺の織手”アシズを中心に組織され、16世紀初頭(先代『炎髪灼眼の討ち手』の時代)に『大戦』の結果消失した当時最大級の“紅世の徒”の集団。理由は“徒”によって異なるが、フレイムヘイズとの戦闘を前提に置く戦闘軍団。ヨーロッパのブロッケン山に要塞を築き、拠点としていた。[とむらいの鐘(トーテン・グロッケ)]の名は、世に新しい理を作る際に、古い理に対してとむらいの鐘を送るという意味を持つ。16世紀初頭に、”棺の織手”アシズが『壮挙』と呼ぶ『両界の嗣子』の形成を実行するため、大戦の5日前には『壮挙』を為すために必要不可欠な宝具である『小夜啼鳥(ナハティガル)』の争奪戦を、その18年前には都市オストローデで戦いを、フレイムヘイズや敵対する“紅世の徒”との間で起こしている。なお、争奪戦では『小夜啼鳥』を奪取し、都市オストローデでは秘法『都喰らい』を発動させ、勝利を収めている。
彼らの『都喰らい』及び『壮挙』は、これを阻止すべく多数のフレイムヘイズを生み出し、さらに本来一人一党の討ち手達が、フレイムヘイズ兵団と呼べるまでの集団となる原因となった。特に後者の時期に「乱造」されたフレイムヘイズは、「ゾフィーの子供たち」と俗称される。
余談ながらブロッケン山、オストローデともに同名の土地が現ドイツ中部に実在する。「ゾフィーの子供たち」にゲルマン系の姓名が多いのは、同地方の出身者が多いからと思われる(物語のオストローデ市は都市ごと“存在の力”を喰われたので、人間同様「最初から存在しなかった事」となる筈であり、現在のオストローデ市と同一ではない可能性がある)。
- “棺の織手(ひつぎのおりて)”アシズ[Asiz]
- “紅世の王”。仮面をつけた蒼い天使の姿をしている。『清なる棺』という、ある意味封絶に似た周囲の因果から閉鎖された強力な凝固空間を作り出す能力を使える。かつて『鍵の糸』という仕掛けを使い『都喰らい』を行い、都市丸ごとの“存在の力”を得て自身を強大な存在にした。炎の色は青。
- 元々は最古のフレイムヘイズの一人として活動していた“王”で、世界のバランスを守るという使命に燃える優れた自在師であり、契約者の“棺の織手”ティスと共に“徒”の組織をいくつも壊滅させた英雄だったが、契約者であった少女ティスの死に際に彼女への愛情に気づき、彼女の喪失を恐れて自身の能力である『清なる棺』を発動させ亡骸の崩壊を防ぎ、周りの人間を無数喰らい“存在の力”を得たと同時に自身を強引にこの世に再召喚、この世を跋扈する“徒”の様に顕現する事に成功する。この召喚の際の代償として、“紅世”との関わりを完全に断ち切り、紅世への帰還が不可能となる。彼がティスの死後に真名として名乗っている“棺の織手”とは彼と契約していたフレイムヘイズの称号であり、彼自身の本当の真名は“冥奥の環(めいおうのかん)”である。
- ティスを蘇らせるためのすべを探してフレイムヘイズと敵対しながら世界を旅するうち、『九垓天秤』と呼ばれる強大な力を持つ九人の“王”を従え、中世最大規模の“紅世の徒”の集団、[とむらいの鐘(トーテングロッケ)]を組織するまでに至る。
- ティスを蘇らせることは叶わなかったが、ティスの最後の願いを叶える為に、存在の『分解』と『定着』の自在式(『大命詩篇』の断篇)を刻んだ金属板と宝具『小夜啼鳥(ナハティガル)』の力を用い、自身と愛するティスの存在を融合させた『両界の嗣子』を生み出そうとした。
- [とむらいの鐘]が強大な組織となったのは彼が出会った“徒”を誰も見捨てなかったからであり、癖の強い『九垓天秤』全員から慕われているところからもその人格面での優しさを伺える。愛し合う者同士が共に生きる事を望んだが叶わなかった過去を持つためか、マティルダとアラストールが愛し合っていた事を知っていたため、瀕死でもはや勝利は無いのに道具の如く世界のバランスを守るために死のうとする二人に同情し、二人の間にも子である『両界の嗣子』を作らせ仲間にしようと説得するが、最終的にアラストールの神威召喚『天破壌砕』で彼らに討滅される。
- “虹の翼(にじのつばさ)”メリヒム[Merihim](アニメ 小西克幸)
- “紅世の王”で『九垓天秤』の一人。役柄は[とむらいの鐘]が誇る力の象徴『両翼』の右。髪の青年騎士の風貌をしており、『九垓天秤』中で唯一、その姿は人間のものと酷似している。炎の色は虹色。
- 一体一体が並のフレイムヘイズに匹敵する力を持つマティルダの『騎士団』を問題にせずに一瞬にして切り伏せる剣技に加え、距離による威力減退がないという恐るべき特性を持つ直線の虹の破壊光線を剣閃と共に放つ、中世欧州において当代最高の破壊力を持つと称されていた自在法『虹天剣』を使い、さらに虹天剣の反射・変質を行う宙に浮く透明な「攻撃のための盾」、“燐子”『空軍(アエリア)』を多数所持しており、戦いにおいて空中での強大な抑止力となっていた。また、虹天剣は虹の七色の内の赤や黄色の光線だけを飛ばして威力を抑えたり、ある程度広範囲に放つ事や、切り札として七人に分身し相手を囲み、それぞれが放つ七色の光で虹の輪を作り破壊の力を集中させ撃砕する技も併せ持つ。宿敵であり、当代最強を誇ったフレイムヘイズ、マティルダ・サントメールを愛し、恋敵であるアラストールを嫌っていた。
- 先の『大戦』の折、先代『炎髪灼眼の討ち手』マティルダ・サントメールに敗れたのち、マティルダとの「誓い」を彼女への愛の証明として守る為、自らの顕現の規模を最低限の動くのみに抑えた「白骨」として数多くの『炎髪灼眼の討ち手』候補や幼少期のシャナ(まだ名はなかったが)を鍛えた。シャナからは「シロ」と呼ばれていた。シャナの契約の後、マティルダとの「誓い」を果たすため、イルヤンカと共にマティルダ、ヴィルヘルミナと死闘を繰り広げ敗れた時から数百年間全く回復していない身体に残された命を削った最後の力(相性の問題もあったとはいえ、強大な“王”であるオルゴンを一撃で滅するほどの攻撃力を出すことは出来た)で“紅世の王”としてシャナと戦い、身をもって彼女にフレイムヘイズの戦い方を教え、自らの成果に満足しながら倒される(倒されたメリヒムとシャナの最後の別れのシーンはV巻での感動の名場面の一つであるが、アニメでは省かれてしまった)。ヴィルヘルミナは彼に好意を抱いていたが、彼は最後まで真っ直ぐにマティルダを愛し続けたのであった。自己中心的で傲慢な性格で癇癪持ちだが、聡明な所や冷静な所や一途な所もある。あだ名は「虹の剣士」。通称のメリヒムの由来は雷と稲妻を齎す『空の軍勢』の君主たる悪魔デーモン、または地獄の九階級の第六位、アエリアエ・ポテスタテス(“空の軍勢”の意)の君主『メリジム(Merizim)』。つまり、『空の軍勢』が共通点であった。
- “甲鉄竜(こうてつりゅう)”イルヤンカ[Illyanka]
- “紅世の王”で『九垓天秤』の一人。役柄は[とむらいの鐘]が誇る力の象徴『両翼』の左。体中が鈍色の鱗で覆われた、四足・有翼の巨竜の姿をしている。自らを老人と称する、非常に古株の“王”。戦闘時は獰猛な面を見せるが普段は温厚で、ともすれば激発しがちなメリヒムらの抑えにまわる、『九垓天秤』の長老格。チェルノボーグのモレクに対する想いや、ヴィルヘルミナのメリヒムへの好意にも気付いていた。炎の色は鈍色。
- 口や全身から噴出し留まらせる事で強大な防御力を発揮する、当代最硬を誇る自在法、『幕瘴壁』を使う。また、『幕瘴壁』は先端のみを硬化させることで強大な打撃力をもつ推進弾としても応用できる。
- 先の『大戦』の折、メリヒムと共に宿敵マティルダとヴィルヘルミナと戦い、ヴィルヘルミナの手によって討滅される。あだ名は「鎧の竜」。
- 通称の由来はヒッタイト神話の邪龍イルルヤンカシュ(イルヤンカ)。
- “大擁炉(だいようろ)”モレク[Molech]
- “紅世の王”で『九垓天秤』の一人。役柄は組織の運営や裁量を行う宰相。組織のNo.2であり、『九垓天秤』の実質的なリーダーだが、普段は控えめというより小心で、地位に伴う威厳は皆無である。豪奢な礼服を纏った、直立した牛骨の姿をしている。その力の大きさは異常な程であり、自らを空間ごと山をも覆う巨大な牛型の迷宮へと変質させる自在法『ラビリントス』を使う。炎の色は黄色。
- 同志に対しては穏やかで優しいが、人間は「自分達と同じ様な精神を持つが決定的に弱い種族」として、他の“徒”同様、「麦の穂」程度にしか思っていない。また、他人の自分への思いを察知するのにも疎く、最後まで周りからの密かな尊敬やチェルノボーグの好意にも気付けなかった。最後は主や仲間のために、自身の確実な死を理解しながらも『ラビリントス』を維持し続け、マティルダの全力爆破により討滅された。あだ名は「牛骨の賢者」。
- 通称の由来は中東の神、ソロモン72柱序列21番のモレク。
- “闇の雫(やみのしずく)”チェルノボーグ[Chernobog]
- “紅世の王”で『九垓天秤』の一人。役柄は隠密頭だが、『頭』とは言っても部下などはおらず、単独で行動する暗殺者である。巨大な右腕と獣の耳を持つ、黒衣を纏った黒髪で痩身の女性であり、顔と耳の白い毛以外は全てが黒く覆われている。右の巨腕を織り交ぜた体術や爆破攻撃や、影に身体の一部や全体を潜り込ませ近距離へと転移する『影浸』という自在法を駆使し闘う。モレクに好意を寄せ、彼から与えられた仕事をこなすこと、彼を守る事にこの上なく大きな充足感を覚えていたが、表面上は彼を「痩せ牛」と呼んで蔑むそぶりを見せ、いつもきつい態度で当たっていた。炎の色は枯草色。
- モレクを失った喪失感からの自暴自棄の自殺にも近い特攻の果てに、先代『炎髪灼眼の討ち手』マティルダ・サントメールの胸を貫き致命傷を負わせるも、ヴィルヘルミナ・カルメルの手で討滅される。あだ名は「黒衣白面の女」。
- 通称の由来はロシア神話に登場する黒の神チェルノボグ。
- “凶界卵(きょうかいらん)”ジャリ[Jarri]
- “紅世の王”で『九垓天秤』の一人。役柄は組織のための情報収集にあたる大斥候。魔物・老人・女の面が張り付いた人間大の卵の姿をしていて、その3つの面から、付き合いの長い仲間でさえもなんとなくしか意図が知れない意味不明な声を繋げて喚く。チェルノボーグのモレクに対する想いにも気付いている様で全く関係ない様な、微妙な発言もした。炎の色は亜麻色。
- 無数の蠅の大群にて広範囲の相手を索敵・情報収集・攻撃する自在法『五月蝿る風』を駆使する。攻撃用の自在法では無いため、ある一定以上の防御力を持つ相手には攻撃効果がないが、それでも十分に強力であり、防御手段を持たないフレイムヘイズは蠅に喰われてしまうため、『大戦』の舞台となった平原の空中に密集させることで『空軍(アエリア)』を失ったメリヒムに代わり、討ち手の大部分の飛行を封じていた。あだ名は「奇妙な卵」。最強の敵マティルダを前に最後まで主に付き従ったが、マティルダにより『天破壌砕』を行う際の生贄とされた。
- 通称の由来はヒッタイト・小アジアの疫病の神。
- “巌凱(がんがい)”ウルリクムミ[Ullikummi]
- “紅世の王”で『九垓天秤』の一人。役柄は先陣を切って[とむらいの鐘]の軍を率いる先手大将。分厚い鉄板もしくは鉄塊を巨大な人型に組んだような姿で頭部は無く、胴体部分に双頭の白い鳥の絵が描かれている。大戦では“徒”の軍勢を率い、フレイムへイズ兵団と戦った。周囲の鉄を集め、自身の濃紺の炎の竜巻に巻き込み、膨大な質量と速度で敵を砕く自在法『ネサの鉄槌』を使う。あだ名は「鉄の巨人」。炎の色は濃紺。
- 卓抜した戦術眼と統率力の持ち主であり、公明正大な人格者で、仲間からの信頼も厚い。『大戦』では、先手大将として軍勢を率いて、雷を使う相性の悪いゾフィー率いるフレイムヘイズ軍団と戦い続け、アラストールの顕現により大勢が決した後はより多くの同胞を生かすため、フレイムヘイズを足止めするために残り、ゾフィーに討滅される。
- 通称の由来はヒッタイト神話に登場する巨人ウルリクムミ。
- “架綻の片(かたんのひら)”アルラウネ[Alraune]
- “紅世の徒”。その姿は、美女の顔を中心に抱いた妖花。援護や補助の法を得意とする自在師で、“巌凱”ウルリクムミの副官を務めていた。常に疑問形で話す癖がある。最後まで先手大将としての使命を果たそうとするウルリクムミに付き添い続け、彼と共に散る。炎の色は薄桃。
- 通称の由来は人の形をした植物、アルラウネ。
- “焚塵の関(ふんじんのせき)”ソカル[Sokar]
- “紅世の王”で『九垓天秤』の一人。役柄は“巌凱”ウルリクムミと同じく先陣を切って[とむらいの鐘]の軍を率いる先手大将。名うての戦上手であったが、『大戦』では、防御陣の相性の悪さと開戦早々に不意を突かれた事でカール・ベルワルドによって討滅されてしまった。木の葉一つ無い石の大木の姿をしており、洞から喋る。見栄っ張りな性格で、ブロッケン要塞落成の式典の際には、入城の序列を巡って騒ぎを起こしたりもした。話が回りくどい。陰険悪辣の嫌な奴(ウルリクムミの評)である為か、他の面々、特にニヌルタとは反りが合わない。“千変”シュドナイと知らぬ仲ではないらしい。炎の色は黄土。
- 通称の由来はメンフィスの墓地の神。
- “天凍の倶(てんとうのぐ)”ニヌルタ[Ninurta]
- “紅世の王”で『九垓天秤』の一人。役柄は全軍の中核となるアシズを守りつつ、[とむらいの鐘]の主力軍を統率する中軍首将。その姿は槍や剣や棍棒など様々な武器が刺さったガラスの壷で戦闘時はこれらの武器に霜が降り始める。「氷の剣」と形容されている。謹厳実直な性格で、公正ならば文句は言わないが、ソカルとはよく激突していた。『大戦』直前の『小夜啼鳥』奪取の際にフレイムヘイズらによって討滅された。炎の色は黝(あおぐろ)。
- 通称の由来はバビロニア神話の戦争の神。
- “戎君(じゅうくん)”フワワ[Huwawa]
- “紅世の王”で『九垓天秤』の一人。役柄は戦機に応じて動き、強襲や危険な任務を遂行する遊撃部隊の長遊軍首将。腹まで口が裂けた巨大な狼の姿をしており、「牙剥く野獣」と形容される。戦いにしか興味のない性格。『大戦』以前の『都喰らい』発動後の戦いでマティルダによって討滅された。炎の色は焦茶。
- 通称の由来はバビロニア神話の怪物フンババ (Humbaba) の古名と思われる。
[革正団(レボルシオン)]
19世紀に現れ始めた『“紅世の徒”の存在を人の世に知らしめる』という思想を元に活動する“徒”達の集団。その実体は『組織』と言うより『集団』と例えたほうが的確であり、通常の組織と違って明確な組織の首魁などが存在せず、各地で散発的にこの集団である事を“徒”やその賛同者(人間やフレイムヘイズを含む)が名乗り、『運動』と称して活動していた。その活動目的から封絶を良しとしない傾向がある。極一部とはいえフレイムへイズも所属していたという点で他の組織とは一線を画している。1930年頃には欧州で活動が活性化し、遠く離れたアメリカ大陸からもこの集団を止めるために多くのフレイムヘイズが駆り出されていたため、その頃にはメンバーは相当な数に上っていると思われる。普通のフレイムへイズや“徒”からは狂気の集団の如く扱われていた。- “征遼の(せいりょうのすい)”サラカエル[Sarakiel]
- “紅世の王”。美麗な男性の聖職者の風貌をしているが、戦闘の際には後光が射して、髪の間に無数の縦に開いた瞳が現れる。[革正団(レボルシオン)]の一人であり、20世紀初頭のハワイの近辺で活動していた。睨んだ対象に自在法を飛ばし、瞳を対象に宿らせる事で強化や干渉を行う自在法『呪眼(エンチャント)』を使う。また『呪眼』である瞳自体を飛ばし、防御や攻撃にも用いる。炎の色は碧玉。
- 理知的な性格で、自分の思想に共感するのであれば、敵であるフレイムヘイズも、“徒”から食われれば非常に弱い人間も、『同志』としてどちらが上も下も無い対等な関係である事を望む。
- 自覚も無く“徒”に喰われ続けるだけの人間を憂い、“徒”と人間との間に『明白な関係』を打ち立てることで、二つの種族が住まうこの世をより良く変えようとしていた。これは人間が“徒”に比べて劣った搾取される種族である事を世に知らしめる行為と同義であり、混乱や虐殺の増加を招きかねない上に、人間という種族全体が失意と落胆に陥る可能性のある行為でもあったが、彼は人間ならばそれすら乗り越え、“徒”と向き合ってより良く生きて行けると本気で信じていた。
- 教授製作の『オベリスク』(正式名称『我学の結晶エクセレント27071-穿破の楔』)を使い、自分の命を力に変え使い果たす事で、自在法を乗せた電波を世界中に発信し、あらゆる送受信機に自らの言葉と姿を現すことで、『明確な関係』作りのためのささやかなきっかけを作ろうとしていたが、サーレや『約束の二人』、『極光の射手』としての真の顕現を果たしたキアラ・トスカナに妨害され失敗、最期を悟った後は、自らの願いをほんの少しだけ発信し、この世と人間を蹂躙する事のできる力を持った“紅世の徒”の存在の説明と、そんな“徒”とも対等に関わっていく事のできる人間の『心』についての語りの中途で『オベリスク』ごと粉砕され討滅される。
- 通称の由来は天使サリエル。
- “吠狗首(はいこうしゅ)”ドゥーグ[Doog]
- 二足歩行の黒犬の姿をした“紅世の徒”。[革正団(レボルシオン)]の一人である。革正団として活動する200年ほど前からサラカエルと行動しており、その頃はサラカエルを『お頭』としていた。炎の色は灰色。
- 犬の面と毛皮を付けた岩石獣人の“燐子”『黒妖犬(モディ)』を使う。簡単な命令をこなす程度の最低限の知能しかないが、大量に作り出すことや、機能を凍結させ長期保存させる事もできる。奥の手として『黒妖犬』自身が崩壊するほどの強烈な咆哮を放つ『金切り声(トラッシュ)』を持ち、サラカエルの『呪眼』の強化と組み合わせることで、複数のフレイムヘイズや“紅世の王”をしばらくの間行動不能にさせる事が出来る。
- ハワイ島マウナロア火山近域で行われた戦いで、強化された数十体の『黒妖犬』による『金切り声』でサーレやキアラ達の鼓膜や肺を破り気絶させ、時間を稼いだ後はサラカエルの言い付けで戦線を離脱、瓦礫に飲まれかけた同志ハリエットを助けた後は、サラカエルの遺言で、他の同志に彼の考えが書き込まれた本を見せるために、本を持ってアメリカ大陸へと海を泳ぎ、消息不明となる。
[巌楹院(ミナック)]
電撃黒マ王掲載の「灼眼のシャナ] Eternal song ‐遙かなる歌‐」に登場。16世紀初頭の北フランスで大きな勢力を有していた、“盤曲の台”ゴグマゴーグを首領とする組織。“徒”達の代理戦争協定「君主の遊戯」の遊戯者(プレイヤー)の組織の中でも大物であった。- “盤曲の台(ばんきょくのだい)”ゴグマゴーグ
- “紅世の王”。“徒”の組織、[巌楹院(ミナック)]の首領。巨大な機械人形のような姿をしており、頭部の舞台に等身大の女性型人形が置かれている(この人形に意思を表出させている)。幻覚で相手を惑わし、機械人形の拳で叩き潰すという戦法を取る。「大戦」の直前、本拠地でベルペオルから加勢の依頼の伝令を預かった“翠翔”ストラスの依頼を了承した直後、マティルダとヴィルヘルミナの襲撃を受けてしまい、討滅される。炎の色は不明。







